北海道コンサドーレ札幌戦で川崎フロンターレはゼロトップを採用した。本職ではない家長昭博をセンターFWに起用し、前を向かせることにこだわらず自由にプレーさせたのだ。
そもそも今季は、サイドバックをボランチの位置に入れる“偽SB”もすでに導入している。こうした新システムを採り入れるのも、鬼木達監督が常に欲しているゴールのため。だからこそ、選手には「手段であって目的ではない。はき違えるな」という言葉が何度もかけられるという。
SBがボランチに入る形を採り入れようとしていた沖縄キャンプで練習試合が3試合行われたが、その一つ、名古屋グランパス戦後に、指揮官はある言葉に力を込めていた。あるいは、こちらがそう勝手に感じただけかもしれないが、それほど、強く印象に残っている言葉があった。
それは、「形がない中で崩してきた自負がある」というものだ。最強の2文字を欲しいままにした20年、あるいは21年の前半は、まさにその通りで、決まった形がない中で、相手を見ながら、そして、修正しながら90分間で相手守備陣を攻略。次々と得点を重ねていった。
今季はある程度、決まり事を入れている部分もある。それでも、理想は相手を見ながらその都度、崩していくことが川崎の攻撃のアイデンティティであるという。
今季、システム的にもさまざまな変化ある中で、名古屋戦後の言葉について鬼木達監督に尋ねると、第一声はやはり、「それがベースなんですよ、僕らの」という言葉だった。