■オーストラリアの赤い大地

「異世界」といえば、オーストラリア大陸中心部の真っ赤な大地も印象的でした。

 1981年のワールドユース選手権(現、U-20ワールドカップ)を観戦に行った時も試合の合間を縫って観光に行きました。目的地は、世界最大級の一枚岩、エアーズロックです。

 エアーズロックは1873年にイギリス人によって発見され、当時の南オーストラリア植民地の首相のヘンリー・エアーズにちなんで名付けられましたが、最近ではオーストラリア原住民アボリジニーの言葉で「ウルル」と呼ばれることが多いようです。

 今では、ウルルのそばに飛行場がありますが、1981年当時はアリススプリングス市まで飛んで、そこからバスで砂漠を突っ切ってウルルに向かうしかありませんでした。「アリス」からは、直線距離で約250キロもありました。

 ウルル自体もそうですが、周囲の砂漠は鉄分を多く含んでいるので、酸化して赤く色づいています。その真っ赤な砂漠の中をバスはひた走ります。そんな砂漠地帯にも植物は育つようで、あちこちに黄色い瓜のような大きな丸い実が転がっていました。

 ここも、また「異界」そのものでした。僕は、まるで火星の真っ赤な大地を走っているように思いました。

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