「東西最大9000キロ」の移動負担と「FIFAランク37位」の実力で勢力図を塗り替え得る「ロシアのAFC入り」計画【ピッチ内外で見えたアジアサッカーの「もう一つの横顔」】(1)の画像
ワールドカップ予選でも、アジアに変化が生まれるかもしれない 撮影:中地拓也

 世界のサッカーは日々、目まぐるしく変化していく。日本が属するアジアも、例外ではない。ピッチ内外で見え始めたアジアサッカーの「もう一つの横顔」にサッカージャーナリスト・大住良之が迫る。

■ロシアはUEFAを離れるか

 アジアのサッカーに大変動の時代が訪れようとしている。震源地は、アジアの北に広がる超大国ロシアと、アジアの西端に君臨する「アラブ世界の盟主」サウジアラビアである。

 ロシア・サッカー協会は帝政時代の1912年に創設され、同年に国際サッカー連盟(FIFA)加盟、国の方針で国際舞台から離れた時期もあったが、1954年には欧州サッカー連盟(UEFA)の創立メンバーとなり、ソ連邦崩壊後もUEFAのメンバーとして活動してきた。

 1991年のソ連崩壊にともなって独立したウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、そしてトルクメニスタンの5か国はアジアサッカー連盟(AFC)に加盟(後にカザフスタンはUEFAに転籍)しているが、ロシアやウクライナなど他の旧ソ連の国々の多くはUEFAに残ったのである。

 そのロシアがAFCへの転籍を計画しているという。理由は、もちろん、昨年来のウクライナ侵攻である。FIFAとともにUEFAが主催大会への参加資格を停止させたため、大きな打撃を受けた。2018年にワールドカップを成功裏に開催したばかりで、最新のスタジアムを舞台にクラブもナショナルチームもこれから大きく羽ばたこうとしていた時期だっただけに、ワールドカップだけでなくチャンピオンズリーグを筆頭にしたUEFAのクラブ大会にも参加できないのは大きな痛手だった。そこで出てきたのがAFCへの転籍案だった。

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