大学サッカーは現在の日本サッカー界において、重要な選手育成の場だ。かつては韓国でも大卒の名手が多くいたが、最近では様相が変わっている。3月21日の両国の大学選抜チームの対戦から、サッカージャーナリスト・後藤健生が現状を読み解く。
■育成について考えさせられる試合
3月21日に、さいたま市浦和駒場スタジアムで「DENSO CUP第21回大学日韓(韓日)定期戦」が開催され、全日本大学選抜が1対0で全韓国大学選抜を下した。
大学サッカー関係者以外にはほとんど関心も持たれない大会なのかもしれない。観客数は3858人と発表されたが、そのほとんどは動員された各大学のサッカー部員だったし、プレス席も閑散としていた。
新1年生を迎えて始まる大学サッカーはこれから開幕を迎える時期にある(たとえば関東大学リーグは4月1日開幕だ)。オフ明けに当たる3月下旬にコンディションが100%であるわけはない。しかも、寄せ集めの全日本選抜チームは約1週間の合宿を経ての試合だった。
そして、事情は韓国側も似たようなもの。
つまり、両チームとも準備不足だった。当然、ミスも多く、最高の試合というわけではなかったが、それだけに両チームの“素の実力”が見えるという側面もある。両国の若手育成についていろいろ考えさせられることの多い試合だった。