■負けパターンその2

 もちろん、相手GKの堅守というのも「負けパターン」の一つだ。

 たとえば、2014年にミャンマーで行われたU-19アジア選手権の準々決勝で日本は北朝鮮と対戦した。

 グループリーグ最終戦で韓国に勝利して万全の状態で臨んだ日本は北朝鮮戦でも試合を完全にコントロール。だが、北朝鮮のGKの大活躍もあって延長戦まで戦って1対1の引き分けに終わり、そしてPK戦で涙をのんだのだ(ちなみに、最後にキックをミスしたのはチームのエースと言われていた南野拓実だった)。

 こうして中国リードのまま迎えた56分、冨樫剛一監督はサイドハーフの佐野一彩に代えて高さのある熊田を投入。これが見事に功を奏した。

 66分には左サイドで粘った佐野が上げたクロスを熊田がヘディングで決めた。フワッとゆっくりゴール前に上がったボールに対して、うまくタイミングを合わせた熊田がジャンプすると中国のDFは誰も競りかけることができなかった。

 さらに、直後の70分には、佐野のクロスに合わせて熊田がジャンピングボレー。だが、このシュートは相手DFに絡まれて失敗に終わる。しかし、すぐに起き直った熊田はそのボールをコントロールしてターン。冷静にゴール中央に決めた。

 起き上がってすぐに強引にシュートしていたらDFかGKにブロックされただろうが、そこで落ち着いてボールを動かしてからシュートしたあたりの判断とそれを成功させるテクニックが素晴らしかった。

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