U-20日本代表が、世界への扉を開けた。U20アジアカップでベスト4に入り、今年5月に開催される年代別ワールドカップへの出場権を手にしたのだ。この結果が持つ大きな意義を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■グループステージの罠
こうして、グループステージから4連勝でU20ワールドカップ出場権を獲得した日本代表だったが、実はグループリーグの試合もそれほど楽な試合ではなかった。個々の試合を見ると、かなり苦しい試合もあったのである。
たとえば、初戦となった3月3日の中国戦では、日本は中国に先制されてしまった。
最終的には交代出場の熊田直起が66分と70分に連続ゴールを決めて逆転することに成功したのだが、それまでは5-4-1で分厚い守備ラインを構築する中国を攻めあぐねる展開だった。
前半のキックオフ直後、日本はアバウトなボールを入れて攻め上がってくる中国のスピードの前に完全に受け身になってしまった。そして、6分にはアイフェイディング・アイシケアーの左CKのボールをニアで捉えた劉浩帆の鋭いヘディングシュートがDFの田中隼人の頭をかすめてゴールに突き刺さった(記録は田中のオウンゴール)。
これは、昔から何度も経験したアジア相手の典型的な「負けパターン」の一つだった。
日本人より筋肉量が多く、パワーがある中国や韓国との試合では、試合開始直後にはフルパワーで来る相手に押し込まれることが多かったのだ。そして、セットプレーから高さの勝負で敗れて失点しまう……。
その後は、日本がテクニックを生かして攻撃を続ける展開になり、何度も決定機を迎えるが、5-4-1のシステムで分厚い守備網を敷いた中国の守備陣にシュートをブロックされた。そして、GKの李昊の好セーブもあって、日本は得点できないまま後半も時間が経過していった。