後藤健生の「蹴球放浪記」第149回「中国で初めて“自由旅行”を体験する」の巻(2) 四半世紀近くを経て復活した「外国人お断り」のホテルの画像
香港発・広州行きの双胴船 提供/後藤健生

 現在は、ほとんどの国や地域に自由に旅行することができる。だが、かつては入国することさえ困難で、自由な旅が許されない国もあった。Jリーグ開幕前、日本代表が最もワールドカップ出場に近づいた瞬間までの道のりは、蹴球放浪家・後藤健生にとっても感慨深いものだった。

■初めての自由旅行

 さて、試合の翌日、僕は広東省の州都・広州を目指しました。試合前日に香港にある中国旅行社で中国のビザを取っておいたのです。5年前と違って、今度は3日間滞在できるもので、しかも交通機関やホテルも自分で手配できるようになっていました。

 そこで、僕は広州まで船で行くことにしました。

「北秀湖」という名前のカタマラン船(双胴船)でした。朝の8時38分に出発し、4時間の船旅。九龍半島北部の港を出た船は青衣島や大嶼山(島)を見ながら北上し、深セン市沖を航行して朱江デルタに入ります。雲南省に発して南シナ海に流れ込む中国南部の大河で、広州市以南の河口部は巨大なデルタを形成。朱江デルタの東側に香港、西側にマカオ(澳門)が位置しています。

 河口部の川幅は非常に大きいのですが、海から川に入ると水の色が茶色く変わるのですぐに分かります。虎口、虎門、黄埔といった小さな町々を見ながら船は広州市内に入っていきます。

 こうして、僕は無事に広州に到着。初めての中国での自由旅行を楽しみました。

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