■VARの“濫用”

 ボールが渡った瞬間に体一つ以上抜け出していたのにオフサイドのフラッグが上がらなかったとしたら、これは重大な誤審だからプレーを止めて映像を使って判定すべきだ(ただし、重大な誤審の場合にはそれほど時間はかからないはずだ)。

 だが、赤いラインや青いラインを引くことによってようやく判定できるような“些細な”オフサイドを判定するためにいちいちプレーを止める必要が本当にあるのだろうか?

 たとえば、昨年の12月31日のアーセナル戦の終了間際にブライトンの三笘薫が決めたゴールがオフサイドの判定で取り消されたが、わざわざあんな“些細な”オフサイドを暴き出して、あのスペキュタクラーなゴールを取り消す必要があったのだろうか? アーセナルの選手やサポーターですら、三笘がオフサイドだったとは気が付いていなかっただろうに!

 VARは、今ではサッカーには欠くことのできないものとなっている。だが、そのためにプレーが再三にわたって止まり、その結果として素晴らしいゴールが取り消されてしまうのであれば、サッカーの魅力が損なわれてしまう。それは、VARの“濫用”としか言えないのではないか?

(3)へ続く
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