日本代表MF三笘薫が所属するイングランド・プレミアリーグのブライトンは、先日行われたFAカップでの一コマを紹介した。指揮官の負けん気を示す動画に、称賛の声が上がっている。
ブライトンは現在、リーグ戦で6位につける。現地時間21日に行われた第21節のレスター戦にも勝利して、順位を1つ上げている。
好調のチームをけん引するのが、ロベルト・デ・ゼルビ監督だ。ブライトンとしてはシーズン開幕後、昨季にクラブ過去最高成績を残したグレアム・ポッター監督をチェルシーに引き抜かれる格好になったが、後任に迎えたデ・ゼルビ監督が不安を一掃。今年に入ってからはFAカップも含めた公式戦無敗と、チームを上昇気流に乗せている。
イタリア人監督でありながら、カルチョの国のイメージとは異なるポゼッションサッカーを志向する。母国では中小クラブでチームを成長させ、UEFAチャンピオンズリーグ常連のシャフタール・ドネツクにも招かれた戦術家だ。
だが、単に理論だけを振りかざすのではない。厳しい競争の世界でチームを引っ張るには、強いメンタリティも求められる。
その一端を垣間見せた。現地時間29日に行われたリバプールとのFAカップで、戦う男の負けん気をのぞかせたのだ。
リバプールとは、今月2度目の対戦だった。現地時間14日にプレミアリーグ第20節で対戦し、ブライトンが3-0と快勝している。
リバプールにしてみれば、そのリベンジの思いがあったのかもしれない。また、自身のアピールもしたい若い選手であれば、一気にヒートアップしてしまうも致し方ない。
その情熱が、軽く暴発した場面があった。ブライトンが得たスローインで、ボールはデ・ゼルビ監督の下へ転がった。指揮官が手にしたボールを自チームの選手に渡そうとした瞬間、事件は起こった。リバプールの19歳、ハーベイ・エリオットがデ・ゼルビ監督が持っていたボールを突いて落としたのだ。テレビ放送では、この場面を見てスタンドで笑うリバプールの選手たちが大写しにされていた。
不意打ちだったこともあり、デ・ゼルビ監督は43歳の大人らしくひとまず事を流した。それでも、やられっぱなしに終わるわけにはいかない。数分後、今度はリバプールのスローインで、またもボールがデ・ゼルビ監督の下に届いた。ボールを受けにリバプールの選手が走ってきたが、デ・ゼルビ監督は一瞬考え、意趣返しを敢行。ボールをあらぬ方向へと投げ捨てたのだ。このリベンジに、スタンドからは控えめな笑いが漏れていた。反撃を食らったのは、エリオットではなく無実のコーディ・ガクポだったのだが……。