後藤健生の「蹴球放浪記」第145回「世界遺産オウロ・プレットで舞台に立つ」の巻(2)ブラジルを支えてきた金鉱の街を目指すの画像
世界遺産の劇場で「誰も寝てはならぬ」を熱唱する筆者 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生にとって、ワールドカップに欠かせないものがある。残念ながらカタールにはなかったが、ブラジルや南アフリカではしっかりと堪能できた。「観光」という名のフィールドワークだ。

■「竜の山」へ

 南アフリカ中心部のヨハネスブルグやプレトリア、ブルームフォンテーヌといった街は高原地帯にあります。そして、ダーバンはインド洋に面した街です。その高原地帯と海岸の間に聳え立っているのが「ドラケンスベルヘ山脈」です。

「ドラケンスベルヘ」とはアフリカーンス語で「竜の山」の意味です(日本では「ドランケンスバーグ」という英語読みで知られているかもしれません)。山脈の稜線が竜の背のように見えたからそう呼ばれるそうです(諸説あります)。

 とにかく、ダーバンからヨハネスブルグに向かってドライブしている最中に、「昼食の時間もだいぶ過ぎたのでどこかで食事をしよう」ということになって、高原の中の小さなロッジ風のホテルに立ち寄ったのです。そこで、ワインを片手に頂いた鱒の塩焼きも美味しかったですが、晩秋の紅葉した山々を見ながらの食事は最高でした。なにしろ、高原ですから空気もきれいです。

 食事を終えてから、近所を散歩してみると断崖の上に出ました。そこから見る大渓谷の雄大な景色も忘れることができません。近所の子供たちも出てきて、いろいろ話しかけてきました。

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