■雰囲気のある若手が生まれる理由
最近の若い選手たちは、サッカー知識が豊富だ。
なにしろ、子供の時から世界のトップクラスのプレーの映像を好きなだけ見られるネット環境に囲まれて育ってきているのだ。
それだけに、彼らは自分のプレーの特徴を意識的に自覚しており、自分はどのようなプレーを目指すべきかというイメージを持ってプレーしている。たとえば、センターバックの選手だったら、ただ前線に向かってボールを蹴るのではなく、自分のキックの特徴を考えて、どのようなパスで前線のどの選手にボールを送るのかを考えながらプレーしているし、サイドバックの選手だったらスピードを生かしてオーバーラップをするのが自分の役割なのか、それともインナーラップしてMFとしてプレーして攻撃に絡んでいくのが自分の特徴なのかを各自が自覚している。
当然、FWの選手でも自分の果たすべきプレーのイメージを明確に持っているはずだ。
「9番」らしい“雰囲気”を持つ選手が増えたような気がするのは、彼らが世界のトップクラスのストライカーのプレーをイメージながらプレーしているからなのではないだろうか。あとは、それをコンタクトの激しいプレー強度が高く、プレーや判断のスピードが求められる中で実行できるかどうかの勝負になる。
そういう意味では、高校生年代の選手たちはまだまだ「完成」にはほど遠い。
最も完成度が高いと思われる小林俊瑛にしても、プロの世界で多くのことを学ばなければいけないだろう。何しろ、彼らがこれからプロの世界で対峙することになるDFのプレー強度は高校生年代のDFとは数段高いはず。まして、福田師王はドイツのDFと戦わなくてはならないのだ。
しかし、いずれもそれなりの“雰囲気”を持った選手たちなので、それを伸ばしていってくれることを期待したい。
彼らにとって、来年のU-20ワールドカップは当面の目標。その先には2024年のパリ・オリンピックがあり、そして、2026年のワールドカップの頃には彼らは21歳から22歳……。世界基準で言えば、ワールドカップで活躍していておかしな年齢ではない。