■貴重な経験を逃さないために

 しかし、どんな状況であろうともPK戦という手順に慣れておくことは無駄ではなかろう。

 U-18日本代表は一つ上のU-19世代とともに、来年はU-20ワールドカップ(5月・インドネシア)に挑戦することになっている。だが、同大会に出場するには3月にウズベキスタンで開かれるAFC U-20アジアカップでベスト4に入らなければいけないのだ。

 準々決勝が引き分けに終わった場合は、PK戦で世界大会の切符の行方が決まる。

 実際、2014年にミャンマー行われたU-19アジア選手権(U-20アジアカップの前身)では、日本は準々決勝で北朝鮮と対戦して1対1の引き分けに終わり、PK戦で敗れてU-20ワールドカップへの出場権を逃がしたことがあった(ちなみに、その時、最後にキックをミスしたのは南野拓実だった)。

 世代別代表で世界大会を経験することは、日本の選手たちにとっては貴重な経験である。まして、次のU-20ワールドカップを目指す世代の選手たちは、新型コロナウイルスによるパンデミックのためにU-17ワールドカップが中止となってしまった世代なのである。つまり、来年のU-20ワールドカップはいつも以上に重要な意味を持っている。

 つまり、来年のU-20日本代表にとって、PK戦の準備はけっしておろそかにできないことなのだ。情報収集などを含めて、しっかりとPK戦に備えておいてほしいものである。そして、その経験は将来のワールドカップでも生きてくるはずだ。

 ちなみに、2026年のワールドカップは48か国が出場する大会となる。大会のフォーマットはまだ正式に決まっていないが、当初は3チームでリーグ戦を行った後、ラウンド32からはノックアウト方式という案が有力だった。もし、この案が採用された場合には、PK戦は従来以上に重要性を増すことになる。

(3)へ続く
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