ワールドカップは終了したが、サッカーのサイクルは止まらない。日本代表も、さらなる成長を目指していく。そのために重要なのが、若手の台頭だ。日本サッカーの未来を切り拓く若年代の育成について、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■ラージグループの成果
ワールドカップ・カタール大会が終了して1週間が経過した。つい昨日のことのようにも思えるし、また遠い過去のことのようにも感じるのは僕だけだろうか。
日本代表は優勝経験国であるドイツとスペインを連破して2大会連続でグループリーグを突破。ラウンド16でも前回準優勝国のクロアチアと互角の勝負を展開して、PK戦で惜しくも涙をのんだ。目標の「ベスト8」には届かなかったものの、確かな爪痕を残すことができたと言っていい。
そうした「結果」とは別に、僕には今回の日本代表を高く評価したいポイントが2つある。
一つは、日本代表はけっして万全の状態で大会に臨んだのではなかったという事実だ。ドイツやスペインのチーム状態が悪いことは大会前から分かっていた。だから、僕は「日本が万全の状態で戦えれば十分に勝機はある」と思っていた。
だが、招集メンバーの中には負傷の影響で実戦から遠ざかっていた選手が何人もいたし、大会直前にも故障者が続出。日本は万全とはほど遠い状態だったのである。
それでも、代わりに出場した選手はレギュラー格の選手と遜色のないプレーをしたし、森保一監督は交代カードをうまく使って万全でないチームから力を引き出すことに成功した。森保監督が時間をかけてラージグループを作ってきたことの成果が出たのだ。