アルゼンチン代表リオネル・メッシは、ピッチ外でのディフェンスも完璧だった。不埒な男への塩対応で、世界の称賛を集めている。
どの世界にも、失礼な人間はいるものだ。カタールワールドカップが終わったばかりの現時点で、最も非難を浴びているのは、ひとりの料理人だ。
その男の名は、ヌスレット・ギョクチェ。トルコでステーキ店を経営している。独特のポーズで塩を振りかける動画を自身のSNSに投稿し、一気に有名になった人物だ。そのため、「塩振りおじさん」とも呼ばれている。
インターネットの時代が作ったその有名人が、カタールワールドカップにも顔を出した。どのようなつながりがあるのかは不明だが、決勝と表彰式を終えた後のピッチに現れ、アルゼンチン代表の選手たちに堂々と近づいている。
リサンドロ・マルティネスが手にしていた優勝杯にべたべたと触り、さらには得意の塩振りポーズまで披露した。クリスティアン・ロメロが抱っこしている子どもが手を伸ばしているにもかかわらず、「オレの物だ」と言わんばかりにカップに触らせなかった。
その行動は、恐ろしいことにスーパースターにも及んだ。塩振りおじさんは、メッシの下へと向かっていった。
ただし、さすがは世界王者の背番号10を背負う男だった。背後から駆け寄ってきた母には、満面の笑みで強く抱きついていたメッシ。塩振りおじさんにも同じように後ろから腕をつかまれたが、一瞥すると顔を前に向き直した。腕を引かれたままだったが、他の人たちとハグをかわす完璧な塩対応で、マークを振り切った。
再度挑戦してきた塩振りおじさんに対して、メッシは大人の対応を見せる。しぶしぶと手を握ると、求められるままにカメラ目線で記念撮影の機会をプレゼント。ただし、ものすごく微妙な表情を浮かべて、自分の気持ちを表していた。