■ブラジルW杯のザッケローニ監督の采配への疑問
古い話を承知で言う。
2014年のブラジルW杯のグループステージ第2戦で、日本はギリシャと対戦した。初戦のコートジボワール戦を落としていた日本にとっては、勝点3がほしかった一戦である。
覚えている方もいるだろうが、ギリシャは前半終了待たずに退場者を出した。日本は数的優位に立った。
アルベルト・ザッケローニ監督は、ハーフタイムに長谷部誠を下げ、遠藤保仁を投入した。長谷部は前半に警告を受けており、2枚目を嫌ったのと同時に、遠藤を入れることで攻撃のギアをあげたかったのだろう。
2枚目のカードは57分だった。大迫勇也を下げて香川真司がピッチに立つ。
後半は押し込むことができた。しかし、得点を奪うことはできない。ベンチには柿谷曜一朗と齋藤学がいた。ブロックを敷いているギリシャの守備網を切り裂くのに、齋藤のドリブルは有効では思った。
選手を入れ替えず、パワープレーを仕掛ける手もあった。森重真人を入れて、吉田麻也を前線へあげるといった策は取れた。
ザッケローニ監督はどうしたか。
動かなかった。3枚目のカードを切ることも、パワープレーをしかけることもなく、0対0のまま試合終了のホイッスルを聞いた。
後日、ザッケローニ本人に「なぜ動かなかったのか」を直接聞いた。納得できる答えはもらえなかった。
なぜ、彼は動かなかったのか。僕自身の答えは「覚悟」である。失うものがない、あるいはさして多くない彼は、いつもどおりの采配をした。そして、負けてしまったのだ。
(以下、次回へ続く)