■「真っ向勝負」をどう戦うか

 昨夜から始まったラウンド16。さっそく「エリートクラス」のオランダとアルゼンチンが、CONCACAFのアメリカとAFCのオーストラリアを退け、準々決勝に進んだ。明日12月5日には日本がクロアチアと、そして明後日6日には韓国がブラジルとぶつかる。他の「新興勢」では、きょうセネガルがイングランドと対戦し、6日にはモロッコがスペインとぶつかる。

 グループリーグを突破するのは大変だが、本当に世界に認められるには、準々決勝以降での戦いが必要になる。過去5回の優勝を誇るブラジルを別にすれば、どんな「エリートクラス」のチームでも準々決勝まで進めば(すなわち祖国のファンに5試合見せることができれば)ひどい非難は受けないだろう。「森保一監督が就任以来掲げてきた「ベスト8以上」という目標の設定は、まさに「世界の仲間入りをする」ということなのだ。

 オーストラリアは奮闘したものの、あと一歩及ばなかった。日本と韓国はどうだろう。

 世界の強豪と真っ向勝負をするには、韓国は戦術的に未熟のような気がする。個々の能力は高く、インテンシティーも高いのだが、ポジショニングにムラがあり、それがなかなか組織を機能させないように感じる時間が長いのである。ブラジルを相手にどんな試合を見せられるだろうか。

 一方、今大会の日本は、ベストの状態からほど遠い状態だ。ケガ上がりの選手、新たな故障者が中心選手に続出している。この状態で勝ち上がることができたのは、森保一監督の好采配と、Jリーグ勢を含めた選手層の厚さが要因だった(スペイン戦の谷口彰悟は素晴らしかった)。本当にベストな状態の日本なら、守備は固く、攻撃にはスピードと見事なコンビネーションがあり、戦術的にもインテンシティーの面でも欧州や南米勢に見劣りしない試合ができるはずだったのだが…。

 いまの状態で、「真っ向勝負」のラウンド16の試合をどう戦えるのか―。勝ち目はないなどとはけっして思わない。しかし「ドイツとスペインに勝ったのだから、クロアチアに勝って当然」などということではないのも、確かなのである。

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