■セットプレーの危うさと山根の起用法

 一方で、守護神としてスタートから出場した権田修一には大きな課題が残った。この試合で幾度も訪れたセットプレーの守備において、同選手の対応は安定せず。飛び出すタイミングの判断や相手の高さに手を焼き何度かミスを犯してしまった。カタールW杯の初戦で当たるドイツも高さとフィジカルを兼ね備えているため、そこを考慮して、正GKには上背のあるシュミット・ダニエルが選ばれる可能性が高まったかもしれない。

 また、後半頭から出場した山根視来は終盤に決定機を外してしまい、アディショナルタイムには逆転弾のきっかけとなるPKを献上してしまうなど、本人にとっても苦しい試合に。特に守備面では、同ポジションを担当する酒井宏樹長友佑都との差は広がってしまった印象だ。

 ただ一方で、このチームにおいて山根に最も求められているのは攻撃面での躍動のはず。カナダ戦では、特に3バックシステムに変更してからは持ち前の攻め上がりが活きていたのも確かだ。この試合を経て、本戦では、守備面で安定感のある酒井がスタメンに名を連ねる可能性が高いと推測されるが、「得点がほしいときは右に山根」と、森保一監督の中での起用法はより一層固まったかもしれない。

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