■バイエルンにも影響が?
ワールドカップが終了すれば、通常の大会であれば参加選手たちはシーズン・オフに入ることになる。ワールドカップ出場選手は、通常の年に比べてオフの期間が短くなり、次のシーズンのパフォーマンスに影響が出ることも往々にしてある。
たとえば、1980年代後半から1990年代前半にかけて、ヨーロッパ最強だったACミランは毎年のようにチャンピオンズカップで優勝して、東京で開催されていたトヨタカップのために来日していた。
だが、フランコ・バレージやパオロ・マルディーニなどミランの選手たちは1990年のアメリカ・ワールドカップでイタリア代表の主体として、ブラジルとの決勝戦まで7試合を戦い抜いた。しかも、この年の北アメリカは猛暑に見舞われたため、彼らの負担は大きく、1990ー91年シーズンのミランは、ワールドカップの影響でパフォーマンスが大きく落ちてしまった。
外国人選手に厳しい制限が課せられていた当時と違って、現在の強豪クラブは多国籍軍となっているので、当時のミランのように特定のクラブが大きな影響を受けることはないが、カタール大会の場合は大会終了後にオフがなく、そのままリーグ戦が再開されるので、クラブの監督にとっても選手たちがどのようなコンディションでワールドカップから戻って来るのかが気になるところだ。
たとえば、ドイツ代表が12月18日の決勝戦まで7試合を戦い抜いた場合、ドイツ代表のベースとなっているバイエルン・ミュンヘンのシーズン後半の戦いに影響があるかもしれない。
「11月開催」には、従来のワールドカップにはなかったような問題点があるのだ。