10月25日、J2の横浜FCは公式ツイッターに1本の短い動画を公開した。そこに映し出されたのは、とても美しい光景だ。
10月23日に行われたロアッソ熊本と横浜FCの一戦。この試合は両チームにとって今季最後のJ2リーグ戦であるだけでなく、中村俊輔の現役ラストマッチでもあった。日本サッカー界に偉大な足跡を残したレフティが最後にピッチに立つ瞬間を見ようと、2万1000人を超える観客・サポーターがスタジアムに駆け付けた。
この試合に中村は先発出場。キャプテンマークを腕に巻いて、ピッチを走った。そして後半15分、ついにその時が訪れた。中村が途中交代でピッチを去ることになったのだ。横浜FCが公開した映像は、その瞬間をピッチレベルで映したものである。
中村はキャプテンマークを長谷川竜也に渡しに行き、そのままハグ。すると、両チームの選手が集まってきて中村に労いのハグを求める。同時に、長谷川は観客席に向かって拍手を促すと、万雷の拍手が生まれた。どちらのチームとも関係なく、そして、選手もサポーターも関係なく、中村のために手を叩いた。26年間の現役生活に、そして、日本サッカー界をけん引した偉大な背中に、できる限りの感謝の気持ちを送ったのだ。