中村俊輔が現役ラストマッチで見せつけたもの…J2ロアッソ熊本戦の前半37分に披露した「代名詞」と“その後”に見せた「プロ26年間の集大成」の画像
中村が本当に見せたかったものは、おそらくFKだけではないはずだ 撮影:中地拓也

 中村俊輔が、現役ラストマッチでも自分らしさを貫いた。試合の中で見せた代名詞と、「その後」のプレーにファンの称賛が集まっている。

 26年間にわたるプロ生活に終止符を打った。中村は23日に行われたJ2最終節のロアッソ熊本戦に出場。横浜FCのキャプテンマークを巻いて先発でピッチに立ち、60分に交代するまで全力のプレーを見せた。

 まさに「全力」という言葉がふさわしいだろう。幼稚園の頃にサッカーを始めて、高校時代は全国大会で決勝に進出。ジュニアユースまで袖を通したユニフォームでプロのピッチに立ち、当時世界最強リーグと言われたイタリア・セリエAチャンピオンズリーグでもゴールを決めた。長らく日本代表の10番を背負い、輝けはしなかったものの2度のワールドカップを経験。そのすべての時間の集大成を見せるかのように、力を振り絞ってプレーしていた。

 前半37分には、「代名詞」を披露する機会があった。「伝家の宝刀」左足でのフリーキックだ。遠い位置からのキックだったが、正確無比なボールがボックス内に送られ、チームメイトにピタリと合わせた。ヘディングしたのは、桐光学園高校の後輩でもある小川航基。しっかり頭で合わせたもののGK正面を突き、ゴールはならなかった。

 見ている誰もが期待した場面で、期待どおりのキックを披露した。だが、中村が成長した姿を見せたのは、その後だった。

 ボールをつかんだ熊本GKがパントすると、必死の形相でボールを追う。決して得意ではないヘディングでは弾き返せなかったものの、すぐさまボールを追い続けた。

 味方のDFにぶつかりそうになり、足でのクリアも成功しない。それでも中村は足を止めることなく、走り続ける。そして、タッチライン際での気迫のスライディング。懸命に伸ばした左足もボールに触れることはなかったものの、相手選手はボールコントロールをミスし、横浜FCのゴールキックとなった。

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