■華麗なボールタッチでドイツを翻弄した

 中村にとって自信初となる06年のドイツW杯は、彼にとってもチームにとっても苦いものとなった。大会直前に行なわれた開催国ドイツとのテストマッチが素晴らしかっただけに、落差の激しさが失望につながったのかもしれない。

 5月30日に行なわれたそのドイツ戦は、後半に激しく試合が動く。日本が動かした。

 57分の先制点は、中村が起点となった。相手のCKを跳ね返した日本がカウンターへ持ち込み、中村が自陣左サイドでパスを受ける。フリングスとシュバインシュタイガーをかわした中村は、柳沢敦へつなぐ。柳沢がワンタッチで高原直泰へつなぐと、フリーで持ち込んだ高原がゴールネットを揺らす。ドイツの選手を翻弄した背番号10の冷静なボールさばきが、先制点への流れを作った。

 65分にも高原が決め、日本は2対0とする。しかし、76分と80分に失点し、2対2に持ち込まれてしまった。

 勝利を逃しただけに、試合後の中村に笑顔はなかった。それでも、「我慢する時間はしっかり守って、できるだけ少ないタッチでゴールへ向かっていくイメージはあった。1点目はそのとおりだったと思う」と、試合後に話している。この日のようなプレーができていれば、日本のドイツW杯はまったく違う結果となっていたに違いない。

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