開催102回目を数える天皇杯で、新たな歴史が刻まれた。ヴァンフォーレ甲府が、初めて決勝進出を決めたのだ。J2クラブが成し遂げた偉業の感動が広がりをみせている。
第102回天皇杯5日、準決勝2試合が行われた。午後7時30分にキックオフしたのは京都サンガF.C.とサンフレッチェ広島で、午後5時30分にキックオフしたのは鹿島アントラーズとJ2甲府だ。
ファイナル進出をかけて、甲府は国内屈指の名門である鹿島のホームへと乗り込んだ。平日であることに加えて、冷たい雨が降るという悪条件。入場者数は9000人弱だったが、当然、大勢を占めたのはホームの鹿島サポーター。それでも、甲府から駆け付けたファンのため、選手たちは必死のプレーを披露する。
大事な決勝進出チケットを勝ち取るため、鹿島はターンオーバーを施すことなくリーグ戦と変わらぬ主力をぶつけてきた。90分間におけるシュート本数は、鹿島の18本に対して、甲府は6本。数字からも、楽な戦いではなかった。
それでも、軍配は甲府に上がった。前半37分、最終ラインの浦上仁騎からの縦パスに抜け出した宮崎純真がしっかり決め切り先制に成功。攻勢を強める鹿島を前に懸命に守り続け、甲府がクラブ史上初の天皇杯決勝進出を決めた。
前回大会までの天皇杯での最高成績は、ベスト8進出だった。準決勝の舞台に立った時点で歴史を塗り替えていたが、甲府の選手たちは歩みを止めることはなかった。
試合終了直後のベンチや選手の様子をクラブがツイッターで公開すると、1日も経たないうちに14万再生を記録。その数字は、さらに伸び続けている。