後藤健生の「蹴球放浪記」第130回「運動神経が必要な高速エスカレーター」の巻(2)モスクワと似ている北朝鮮の「地下鉄道」の画像
1985年の平壌ではワールドカップ予選(北朝鮮対日本)を観戦 提供/後藤健生

 蹴球放浪家・後藤健生は、世界各地で取材活動を行ってきた。当然、移動ではさまざまな交通機関を使うが、もっと身近な「乗り物」もある。4年前、ロシアの地でのワールドカップで掘り起こされた記憶がある。

■地下深く引き込まれていく感覚

 モスクワでは、今でも旧式の武骨なエスカレーターが轟音をあげて地下深くに向かって動いています。まるで地下深くの黄泉の国にでも引き込まれていくような感覚です。そして、エスカレーターの下、ホーム側には小さな小屋のようなものがあって、そこにオバサンが座っていて、万が一の事故の時にはすぐにエスカレーターを停止させる仕組みになっています。

 2018年のワールドカップの時は1か月にわたってモスクワに滞在したので、僕も地下鉄は毎日のように利用していましたが、僕もエスカレーターを歩かずに立って利用しました。

 さすがに、あの高速エスカレーターでは歩くのは怖かったからですし、そもそもエスカレーターが速いので急いで歩いて下りる必要を感じませんでした。しかも、モスクワの地下鉄の運行間隔は非常に狭くて、深夜帯以外では電車が行ってしまったと思ってもすぐに次の電車がやって来るので、とくにエスカレーターで急ぐ理由もなかったからです。

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