後藤健生の「蹴球放浪記」第129回「世が世なら、もしかしたら王様?」の巻(1)苗字1文字の読み方での「王家の血筋」の見分け方の画像
水原三星の入場券。1996年のリーグ戦のもの。大会名は「アディダス杯プロ蹴球大会」 提供/後藤健生

 取材をすれば、さまざまな人に出会う。時には、思いもしない出会いもまっているものだ。蹴球放浪家・後藤健生が出向いた韓国には、世が世ならば出会えなかったであろう人物が「働いて」いた。

■「イ」ではなく「リ」の意味

 渡された名刺には漢字で「李鎬昇」とありました。

 それで、僕は「多少は韓国語が分かるんだよ」というところを見せよう思って、「ああ、イ・ホスン氏ですね」と韓国語の発音で読んでみせました。

 すると、李鎬昇氏はこう言ったのです。

「私は“イ”ではなく、“リ”と読むのです。王家の李ですから」

 ご承知の方も多いでしょう。李さんは金(キム)さんや朴(パク)さんと並んで韓国で最も一般的な姓であり、そして普通は「イ」と読むのです。

 というのは、韓国語が属しているウラル・アルタイ語族の言語では語頭に「R」の音が来ないという規則があるからです。

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