■現代の選手に合わせた指導法

――ゴールラインテクノロジー(GLT)やビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)で使われているシステムですね。

片山 英国で開発され、その後日本のソニーが買収した会社のシステムです。テニスのライン判定や、GLTで有名ですが、最近ではプロ野球のヤクルト・スワローズがピッチャーの投げるボールの初速、終速、回転数、回転軸の傾きなどの分析をはじめ、さまざまな分析に使用しているそうです。ことしのワールドカップでは、「半自動オフサイド判定」にも使われるそうですね。

――そう聞いています。

片山 そのシステムというのが、選手の体の出っ張った部分、29か所を映像からトラッキングして3Dの映像に落とし込むという形です。ほぼリアルタイムにそうした3D映像をつくれるので、カタパルトで得られる身体情報とのリンクが容易になります。これは、トップクラスのチームだけでなく、とくに子どもたちの指導に生かせるのではないかと思っています。

――どういうことですか。

片山 僕らの世代は、子どものころは携帯電話もなければ、ビデオもよくわからなかった。でもいま子どもたちはスマホを自在に扱う。彼らにとっては、映像で見せるのが最もよく理解できると思うのです。たとえばドリブル練習でも、ボールを取りに向かってくる相手をどう抜いていくか、映像で見せるのが最もわかりやすいと思うのです。ホークアイを使った3D映像なら、自分がこういうふうに体重をかけたら相手はこう動くよねと、自在にコントロールできますよね。それを見せたら、成長はとても早くなると思うのです。いま、ホークアイの方ともいろいろお話をさせていただいています。こうしたサイエンスをフルに生かせる「世界一の練習場」を、どこかのタイミングでつくりたいと考えています。

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