■新監督の就任初戦が「6ポイントマッチ」

 今シーズンは磐田の指揮官としてJ1で戦っていた伊藤監督だが、昨シーズンまではJ2のヴァンフォーレ甲府を指揮していた。対戦相手については、ある程度は把握できているはずだ。FW中山仁斗富樫敬真、MF氣田亮真名倉巧らは、相手チームの監督として対戦している。選手の特徴についても、相応の情報は持っていると考えられる。限られた時間のなかで、戦闘態勢に入ることができる。

 サッカーはどうだろうか。

 監督としてのキャリアをスタートさせた2017年の大宮アルディージャでは、4バックを採用している。前監督の流れを踏襲したものだ。19年から21年まで指揮した甲府でも、8月まで指揮した磐田でも、それまでの3バックを継承した。

 どちらのシステムでも、ボール保持をベースとしたのは共通する。J1残留を目ざした磐田でも、守備に軸足を置いたサッカーはしなかった。

 すぐにでも結果を残さなければいけない状況で、戦術をガラリと変えるのは現実的ではない。原崎前監督指揮下の4バックをベースに、「ボールを大切にしながら前進する、相手の嫌なところに立ち位置を取る」といった自身のスタイルを具現化していくのだろう。

 初采配となる9月10日の34節は、大分トリニータとのアウェイゲームだ。6位の大分との勝点差は「3」しかない。負けたら勝点で並ばれてしまう。J1昇格プレーオフ圏内をめぐる6ポイントマッチだ。

 4連敗中は、すべて先制点を喫している。先制点がポイントとなるのは間違いなく、伊藤監督も試合の入りからアグレッシブさを出したいと話している。

 今回の監督交代は、時機を逸したものだったのか。それとも、ギリギリで間に合うタイミングだったのか。残り8試合、仙台の戦いが注目される。

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