■半自動オフサイドテクノロジー(SAOT)とは?
SAOTとは、オフサイドの判定を補助する最先端テクノロジー。スタジアムの屋根下に設置された12台の専用カメラによってボールと各選手の29か所の部位を1秒間に50回追跡し、それぞれのピッチ上での正確な位置を導きだすものだ。2021年のFIFAアラブカップと2022年2月のFIFAクラブ・ワールドカップで既に導入されており、カタール・ワールドカップ(W杯)でも導入されることが決まっている。
またカタールW杯の公式球(アル・リフラ)には内部にセンサーが設置され、1秒間に500回、データをビデオオペレーションルームに送信するという。それによってキックポイント(ボールを蹴った位置とタイミング)を正確に割り出せるようだ。なお、今回のCLではボールにセンサーは内蔵されていない。
このトラッキングデータを組み合わせたうえにAIを応用することで、オフサイドポジションにいた選手がボールを受けた際にはVARルームにオフサイドの警告が届くという。ビデオマッチオフィシャルは、ピッチ上の審判員に通知を知らせる前に、自動的に選択されたキックポイントと自動的に生成されたオフサイドラインを手動で確認する必要がある。ただ、このプロセスは数秒以内で行うことが可能なため、オフサイドの判定をより速く正確に下せるようだ。
オフサイドの判定が下された場合には、判定で使用されたものと同じ位置データを使用した3Dアニメーションが生成される。これはスタジアムのスクリーンに映し出され、FIFAの放送パートナーにも提供されるという。
なお今回コペンハーゲンの得点取り消しに1分弱の時間を要したのは、得点から15秒前にあったコルネリウスへのロブパスが外に流れて少し攻撃が停滞しており、「VARがさかのぼることができる区間に該当するかどうか」のチェックがあったためだと想定される。