■ビジョンが重なった決勝点

 そして、23分の日本の先制ゴールも田畑が起点だった。田畑から早いタイミングで中盤にボールが送られた瞬間に日本の攻撃のスイッチが入った。田畑からのパスを受けた天野、そして浜野まいかへと素早くボールがつながり、バイタルゾーンで浜野が前を向いた瞬間にトップの山本が相手DFと駆け引きをしながら、裏のスペースを指さしてパスを要求。その瞬間に浜野がスペースにボールを送り込む。そして、フリーになった山本が反転して逆サイドのサイドネットにシュートを突き刺した。

 池田監督は90分間ほとんどテクニカルエリアに出て声を張り上げ続けたが、このゴールの場面では浜野にボールが渡った瞬間に「背中取れ!」と声を上げていた。つまり、この得点は選手たちと監督が共通の一つのビジョンを描いたことによって生まれた1点だったということになる。

 1点をリードされたオランダはその後次第にフィジカル的な優位性を生かすために直線的に日本のゴール前に迫るようになったが、前半は日本がコントロールしたまま終了。後半に入ってからはオランダに押し込まれる時間帯もあったが、オランダの決定機は後半になって降り始めた雨の中のGKの福田史織がボールをファンブルした場面を含めてもほんの数回。日本の守備は最後まで機能したし、ピンチの場面では最終ラインは体を張って(時にはイエローカード覚悟で)オランダの攻撃を跳ね返し続けた。

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