清水は立田のカバーリングを筆頭に、個々が集中力を切らさずに揺さぶりに対応して我慢する展開が続いた。そんな中、攻撃が変化。ゴールキーパーの権田修一から一気にチアゴ・サンタナへボールが飛んでいくようになった。
組織よりも個の力で最初のきっかけを掴む、という方針にシフトした清水だったが、それもガンバは想定済みだった。「チアゴ・サンタナを起点にするのはわかっていた。そこを自由にさせないことがこの試合のポイントだと思って徹底していた」(三浦弦太)というガンバは、ファウルを取られずに激しく競り合ってみせ、そこも機能させなかった。
それでも、清水が勝ち、ガンバが敗れた。
勝敗を分けたのは、守備でエラーを起こすかどうか、という部分だった。
普段と異なる状態で戦いながらも、鈴木が競り合い立田がカバー、というセットを崩さないように耐え切った清水に対し、ガンバは普段とは異なる3バックのメンバー構成が裏目に出た。
後半、徹底した権田からサンタナへのボールが徐々にガンバを疲れさせ、中盤にスペースが生じるようになると、72分、途中出場のカルリーニョス・ジュニオがセンターサークル内でボールを受けて前を向くことに成功。
この時、ガンバは3バック全員がサンタナの動きに対応してしまった。
裏へ走り出したサンタナへのパスコースはカルリーニョスと向き合う形になった三浦が切ることに成功し、カルリーニョスはゴールからもサンタナからも逃げていくようにボールを持ったが、左センターバックの藤春がサンタナの動きについて行ったことで本来彼が対応する位置のベンジャミン・コロリがフリーに。「シュートしかない、とわかっていた」というコロリがきっちりとゴールを奪い、清水が先制した。
ガンバは準備してきた戦い方を継続して攻勢を強めようとするものの、パス交換のミスでスローインを与えると、その対応で再びパス交換のミス。ダワンが昌子源に小さく戻したものがルーズボールになり、サンタナに回収されると一気にペナルティエリアまで進まれ、最後はカルリーニョスがネットを揺らした。これで試合は決した。