■対象的だったガンバと清水の「我慢」
清水のゼ・リカルド監督は「チームは集中力を保ち、苦しみながらも勝利を得ることができた。選手が非常にハードワークしてくれた賜だ」と振り返った。しっかりと対策をされ、普段通りには進まない戦い方を強いられ、勝利の瞬間に喜びよりも疲労が上回るほど消耗させられたが、先発した選手たちは最後までエラーを起こさずに耐え切った。しかも、途中出場の選手たちが相手のエラーをモノにして勝利してみせた。
そんなチームが感じさせるのは、強さだ。
アディショナルタイムには足が攣り、勝利と共に倒れ込んだ立田は「我慢できるようになったのはチームの成長だと思う。後ろが我慢していたら前線の選手が2点も取ってくれて勝てた、というのも成長している証拠だと思う」と新体制で急速に身につけている強さの手応えを語った。
我慢しきれるかどうか、それが強さの前提になっていた。
この試合のガンバは、それとは対照的な存在だった。
対清水の戦い方が機能していながらも、その代償として部分的に生じるリスクが上回り、致命的なエラーが起きてしまった先制点。そして、反撃する中で唐突に生じたミスによる追加点。
清水対策が機能していた分、簡単には変わらない勝負弱さを感じさせることになった。
自身のパフォーマンス自体は良かった三浦は試合後「割り切って勝ち点を取る戦い方も必要になってくる」と、ここから泥沼の残留争いを戦っていく覚悟を示したが、この大一番で強さを見せることができなかったチームがその戦いをどこまで我慢し、耐えられるだろうか。
残りは10試合。自動降格圏に沈んだガンバは、残念ながら残留争いを簡単に抜け出すことはできなさそうだ。
我慢強く戦うか、あるいは劇的な変化に期待するか。強くなった清水を見る限り、どちらか1つが必要、ということでもなさそうだが、果たしてガンバは終盤戦をどう戦うだろうか。
■試合結果
ガンバ大阪 0―2 清水エスパルス
■得点
73分 ベンジャミン・コロリ(清水)
86分 カルリーニョス・ジュニオ(清水)