■果たしてバランスは正しいのか
さて、AFCは「クラブとナショナルチームの日程をよりバランスよく組み合わせることができる」と説明するが、ACLとワールドカップ予選を並べてみると、果たしてそうだろうかと、大きな疑問が沸いてくる。
これまで、ACLのグループステージは2月から5月にかけて行われてきた。ACLで準決勝、決勝と勝ち上がったチームは秋も大変だったが、そうでなければ9月から12月にかけてのJリーグの後半戦に集中することができた。2023年以降は、その時期、Jリーグの優勝争いの佳境の時期にACLのグループステージを戦わなければならなくなる。そして2024年のその時期は、ワールドカップ3次予選の序盤から中盤にも重なるのだ。
2024/25シーズンのACLの日程は発表されていないから、2023/24シーズンの日程を参考にして考えると、2024年の9月から11月の3か月間、ワールドカップの3次予選が毎月2試合ずつ行われるのだが、同時にACLのグループステージも9月にスタートし、9月は1節だけだが、10月と11月は2節ずつ組まれる。すなわち、10月から11月、Jリーグの終盤の時期に、最多4つのクラブの選手が、Jリーグとは別にACL2試合とワールドカップ予選2試合をこなさなければならない状態となるのだ。
これが「クラブとナショナルチームの日程をよりバランスよく組み合わせることができる」状況なのか、疑問に感じずにはいられない。
日程が大きく変わるACL、強豪が分散し、さらに「勝って当然」の状態になるワールドカップ予選。アジアのサッカーの変化は、日本のサッカーに少なからぬ影響を与えそうだ。