■来年に迫るワールドカップを見据えて

 日本女子代表(なでしこジャパン)にとって、E-1選手権は来年オーストラリアとニュージーランドで開催されるFIFA女子ワールドカップに直結する大会でもあった。

 いや、日本だけではない。アジアカップで決勝戦を戦った中国や韓国ももちろんワールドカップ出場権を獲得しているし、チャイニーズタイペイ(台湾)も大陸間プレーオフに出場することが決まっている。つまり、E-1選手権出場国すべてが来年のワールドカップを目指しているのだ。

 だが、4チームの中でも池田太監督就任からまだ1年も経っていない日本にとっては、E-1選手権はチーム作りのために非常に重要だった。

 アジアカップの後には、6月にはヨーロッパ遠征があり。日本はランキング的には“格下”のセルビア(36位)、フィンランド(29位)相手に自分たちでボールを動かして、ゲームをコントロールしながら複数点を奪って勝利することができた。

 結果だけではない。この2試合は、内容的にもボールを大きく動かして攻撃する素晴らしい内容の試合だった。

 リオデジャネイロ・オリンピックのアジア予選で敗れて以来、女子代表は“過去の栄光”である「2011年の優勝」を忘れられないのか、パスをつなぐことに固執し過ぎた感があった。それだけに、欧州遠征での女子代表のダイナミックなパス回しには勢いがあって、ずいぶん久しぶりに女子代表の好試合を見たように感じた。

 そうした流れを受けた今回のE-1選手権だったが、残念ながら内容的には不満が残るものだった。海外組を招集できず、ほとんど代表経験のない選手も多い編成だったからである。所属チームとは違うポジションでプレーする選手もいたし、初めての組み合わせでのプレーも多かったので、ある程度は仕方がないことではあるが、男子代表と違って、国内組でも代表のレギュラークラスが何人もいたのだから、もう少しすっきりする勝ち方をしてほしかった。

(2)へ続く
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