■野球にはなかった発明品
ノックアウト方式の大会では、運不運が小さからぬ要素になる。そのシーズンで最も強いチームを決める最良の方法は、すべてのチーム同士が、それぞれの相手とそれぞれのホームで1試合ずつ対戦する形であるに違いない。その総合成績によってチャンピオンを決めるのは、最も公平で、文句のつけようがないシステムなのである。「リーグ・システム」が世界に広がり、「サッカーの基本」となったのは、何よりもその公平性にある。
「リーグ」と「ホームアンドアウェー」はマグレガーの発明ではなかった。しかし1888年9月8日に開幕した初年度の「フットボール・リーグ」は、アメリカの野球にはなかったまったく新しい順位決定方法を創り出した。「勝利に2、引き分けに1」の勝ち点制度である。といってもこれが決まったのは、各チームがすでに8試合ほど消化した後、11月21日になってからだった。この勝ち点制度は、イングランドでは1981年に「勝利に3、引き分けに1」に変えられるまで、100年近く続いた。