大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第93回「リーグ・システムはサッカーの基本」(4)サッカーを世界的に発展させた偉大なふたつの発明の画像
豊かな歴史があってこそ、現在のサッカーがある

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、サッカーで最も重要なもののひとつ。

■「リーグ」が意味するもの

 そもそも英語の「リーグLeague」は、本来、「同盟」や「連盟」を意味している。ラテン語の「リガーレ(結ぶ、つなぐ)」からイタリア語を経て派生した言葉で、フランス語の「リエゾン(連音)」や英語の「ラリー」も同じ言葉からの派生語だという。日本の私たちは、リーグと言えば、決められた10から20チームがシーズンを通じて対戦するシステムをイメージするが、「連盟」という意味から、協会名に「リーグ」がついているところもある(パラグアイ・サッカー協会は1998年に改称するまで「アソシエーション」ではなく「リーガ」だった)。

 アメリカの野球リーグを意識していたのに、マグレガーが「リーグ」という言葉を避けようとしたのは、当時英国で目の敵にされていたアイルランドの自治運動を主導した政治組織「ホーム・ルール・リーグ(内政自治連盟)」が頭にあったからだと言われている。

 つまり、「リーグ・システム」は、「リーグ」という言葉に重要な意味があったわけではない。マグレガーの提案どおりになっていれば、いまごろ世界中で「ユニオン・システム」が行われていたかもしれない。重要なのは、「定められた数のメンバー(クラブ)」が「ホームアンドアウェー」で、「シーズンを通じて」対戦し、しかもその試合日程がシーズンの始めにしっかりと決められていることなのだ。

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