■両サイドバックが演出した鹿島の逆転弾

「もっと圧力をかけよう」

 レネ・ヴァイラー監督がハーフタイムにこう言って送り出した鹿島イレブンは、後半、積極的なプレーを見せた。そして52分、逆転に成功する。右サイドでの常本佳吾のボールカットから、広瀬陸斗がファーにクロスを送る。これを、鈴木優磨が高々としたジャンプで胸トラップすると、そのままシュート。次の瞬間にはゴールネットが揺れていた。常本と広瀬の両サイドバックがヴァイラー監督の指示通りに見せた攻撃的な姿勢が、鹿島を逆転に導いたのだ。

 しかし、鹿島はまたしてもC大阪にリードされる。70分に加藤陸次樹が同点弾を、77分にジェアン・パトリッキが逆転弾を決めたのだ。気温は23度ながら湿度90%のカシマのピッチで、しかも、アウェイ戦だった前節から中3日の試合ということを考えれば、万事休すかと思われた。

 ここでチームを救った一つの要因は、指揮官の攻めの采配だった。2−1とリードした場面で、ヴァイラー監督はFWエヴェラウドとMF樋口雄太という攻撃的な選手を投入していた。アンカーでフィルター役をこなしていたMF三竿健斗がいなくなったことで守備面に綻びが生じた場面もあったが、試合終了間際に同点弾を決めたのはエヴェラウドだ。

 土壇場の場面で決めたバイシクルシュートが、相手GKの頭上を越えてゴールネットを揺らしてみせた。劇的にしてビューティフルなゴールは、「声出し応援」の実証実験が行われたカシマスタジアムの興奮を最高潮まで高めた。

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