日本女子代表は6月、ヨーロッパに遠征し、2試合を戦った。格下相手ではあったが、内容を伴う大勝は、なでしこジャパンの変化をうかがわせた。新しい時代へと向かおうとするなでしこの2試合を、サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■苦しいスタートとなったフィンランド戦
セルビア戦からフィンランド戦までは中2日という日程だった。しかも、セルビア北部のスタラ・パゾバからフィンランド戦の会場となったトゥルクまでの移動に時間がかかったため、日本女子代表はフィンランドとの試合への準備を試合前日の練習だけに限られるという困難な条件下で迎えた。
そして、セルビアに比べると体も大きく、スピードのあるフィンランドとの対戦では前半はむしろ押し込まれる時間が長くなってしまった。
13分に遠藤純が左サイドで仕掛けて入れたクロスが相手DFのナタリア・クイッカに当たってオウンゴールとなって、日本にとって幸運な先制点が生まれたものの、その5分後には日本から見て左サイドの深い位置でサイドハーフ、アデリナ・エングマンがパスを受ける瞬間に、サイドバックに入っていた三宅史織がボールを奪いに行ってかわされ、エングマンにそのままドリブルで持ち込まれて同点ゴールを決められてしまった。