■サイドでの1対1はどの試合でも再現度が高い

 戦術の浸透性を示す際には「再現性」という言葉を使うことが多い。例えば3シーズン前のマンチェスター・シティでは、ニアゾーン(ペナルティエリアの脇の部分)からクロスを何度も上げており、誰がどう見ても再現度が高い攻撃方法で、猛威を振るっていた。

 再現度の高い戦術は他にもいろいろあるが、最も作りやすい崩しの形は「サイドでの1対1」だ。これには、相手が5-3-2でこちらが4-3-3で……などといったシステムの噛み合わせは無関係。中央にゴールがあるため真ん中を優先的に守らなければならないという、「サッカーの原理」によって再現度が高くなっているのだ。

 そのためタッチライン際での攻防は、両チームがどんな戦い方だろうと毎試合発生する。サッカーにおける「恒例行事」なので、WGにドリブラーを置いてストロングポイントを作っておくことは定石と言える。

 現状、ドリブラーらしいドリブラーは日本代表に三笘と伊東しかいないため、カタールW杯でもWGにはこの2人をスタメンで使うべきだろう。チャンスの数は圧倒的に少なくなるだろうが、ドイツ戦とスペイン戦でも、この2人のドリブル突破に頼る機会が必ず来るはずだ。

 両選手には本戦でも、対策不可能なドリブル突破からサムライブルーに勝利をもたらすことを期待したい。

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