■韓国に負け続けてきた歴史

 これは、画期的なことだ。

 従来は、MFのテクニックなどでは日本がリードするが、ゴール前での仕事をするストライカーやストッパーでは韓国が上回るという場合が多かった。日本がポゼッションで上回り、試合をコントロールしているように見えるのに、結局、最後はゴール前での個人能力でやられてしまう試合が多かったのだ。

 たとえば、2012年のロンドン・オリンピックでの銅メダルを懸けた3位決定戦。日本がボールを握る時間は長かったが、韓国は割り切って日本の弱点であるセンターバックを狙ったロングボールを多用して前線に勝負を託した。そして、朴主永(パク・チュヨン)と具慈哲(ク・ジャチョル)のゴールによって、日本にとって44年ぶりのメダル獲得を阻んだのである。

 さらに、最近では2019年にポーランドで開かれたFIFA U-20ワールドカップでの対戦がある。

 順調にグループリーグを突破したU-20日本代表だったが、ラウンド16で韓国と対戦。日本がボールを握って攻撃を続けたもののゴールを決めることができず、84分になんでもないクロスを高さのある呉世勲(オ・セフン)に決められて、ラウンド16突破を阻まれたのだ(ちなみに、韓国はこの大会で決勝に進出し、ウクライナに敗れて準優勝している)。

 さらに遠い過去に遡れば、日本はあらゆる局面で韓国に敵わない時代が続いていた。

 フィジカルや精神力はもちろん、ボールテクニックでも、戦術面でも、国際経験でもアジアカップなど、アジアでの真剣勝負を繰り返す韓国が上……。1950年代から1970年代まではそんな時代が続き、日本は15年間にわたって韓国に一度も勝てなかった時代があった。

(2)へ続く
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