■ブラジルから届いた衝撃のニュース
ことしの4月、5月と、連続してブラジルからショッキングなニュースが流れた。男性のプロ選手による女性審判員への暴行である。4月には、前半終了直後に主審に詰め寄り猛抗議してイエローカードを出された監督を制止しようとした女性副審に、その監督が頭突きを食らわし、レッドカードだけでなく、クラブから解雇されるという事態になった。5月には、VARのオンフィールドレビューでヒジ打ちを確認されレッドカードを示された選手が、女性主審に猛然と詰め寄ってなぐりかかろうとし、大きな話題となった。
だが、ブラジルでは、審判員に対する暴行(あるいはその未遂)はそう珍しいことではない。このふたつの事件がニュースになって世界の注目を集めたのは、相手が女性審判員だったからだろう。
ことしのワールドカップで6人の女性審判員たちがしっかりとしたレフェリングを見せることで、近い将来には、男性の試合で女性審判員たちが活躍する姿が当たり前になるだろう。そしてワールドカップという「目標」ができたことでさらに優秀な女性審判員が輩出され、10年後には、ワールドカップで男女の審判員が同数、あるいは女性のほうが多くなる可能性さえ否定できない。そうなったら、ブラジルのこんなニュースが日本まで届くこともなくなるだろう。
審判員には、「パワー」は大きな問題ではない。68メートル×105メートルのピッチのなかで90分間必要な場所にすばやく移動し続けられるフィジカルのレベルさえ獲得できれば、あとは判断力とパーソナリティーだけの勝負だ。この勝負において、女性より男性が優れているという証拠は、どこにもない。