■フラパールの力ある言葉
フラパールは、間違いなく現在の世界でナンバーワンの女性主審である。そして彼女が男性を含めた現在の欧州のレフェリーたちのなかでも高いポジションにいることも、多くの人が認めるところだ。身長は164センチ。日本の山下良美主審よりも小さいものの、強いパーソナリティーで非常に堂々としている。
「女性のサッカーと男性のサッカーに大きな違いがあるとは思わない。プレー自体に多少の違いはあるかもしれないが、サッカーはサッカーだからだ。女性の試合を担当することも男性の試合を担当することも、私にとってはまったく同じ。なぜなら同じルールで行うゲームで、判定基準も変わらないからだ。どんなに大きなものがかかった試合でも、私はけっして恐れない」(2019年、UEFAスーパーカップを前にした記者会見で)
このフラパール主審とともに、山下主審、そしてルワンダのサリマ・ムカンサンガ主審(ことし1月のアフリカ・ネーションズカップで主審を務める)の3主審が、史上初の「ワールドカップ女性主審」である。「史上初のワールドカップ女性副審」は、ブラジルのネウザ・バッキ、メキシコのカレン・ディアス=メディナ、アメリカのキャスリン・ネスビットの3人。主審がすべて「旧大陸」で、3人の副審が「新大陸」であるところが興味深い。
ただ、FIFAの年齢制限のない男性の大会に選ばれた女性審判員は、彼女たちが初めてではない。2021年2月にUAEで行われた「FIFAクラブワールドカップ」に、エディナ・アウベス・バティスタ主審、マリアナ・ジ・アウメイダ副審、ネウザ・バッキ副審のブラジル・トリオが参加し、蔚山現代(韓国)とアルドゥハイル(カタール)の間で行われた5位決定戦を3人で担当している。バッキ副審は、2年連続の「FIFA男性世界大会」ということになる。