ワールドカップが近づいてきた。本番に向けた準備も進んでいくが、それは選手にとっての負担の増加を意味する。サッカーの世界は正しい方向に進んでいるのか。サッカージャーナリスト・大住良之が考察する。
■酷使されたオーバーエイジ組
日本代表の場合を考えてみよう。「コロナ禍1年目」の2020年には、代表活動は大きく制限され、10月と11月の「国際試合カレンダー」で2試合ずつしか実施できなかった。しかし2021年には、5月24日から6月15日まで、23日間もの活動で5試合を戦った。
さらに東京でオリンピックが開かれたこの年には、現在日本代表として活躍している選手を数多く含む「U-24日本代表」が5月31日~6月12日(13日間)に2試合、7月5日~8月6日(33日間)で8試合をこなしている。
言うまでもないが、このチームには「オーバーエイジ」としてDF吉田麻也(サンプドリア)、DF酒井宏樹(マルセイユ→浦和レッズ)、MF遠藤航(シュツットガルト)の3人が加わっていた。3人とも5月24日~28日の5日間は「日本代表」として活動し、28日のワールドカップ予選(対ミャンマー)に先発出場した後にU-24日本代表の活動に加わっている。