各国の首都には、サッカーのビッグクラブがつきものだ。日本の首都・東京にも、J1だけではなくさまざまなカテゴリーで戦うクラブが存在する。やはり多くのクラブが集うロンドンのように、東京が「サッカーの大都市」になる日は来るのか。サッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■プロ化を断念したクラブ
こうして、東京に存在するいくつものクラブだが、それぞれの沿革や現在の状態にはさまざまな違いがある。
実業団の古豪だったのがFC東京(前身は1935年に発足した東京ガス・サッカー部)と武蔵野(前身は1939年に横河電機サッカー同好会としてスタート)の2チームだ。
武蔵野は発足当時から現在まで本社工場がある武蔵野町(現在の武蔵野市)に本拠を置く東京西部のチームだったが、東京ガスは本来は東京東部が本拠であり、東京スタジアム(味の素スタジアム)をホームスタジアムとするために東京西部に移ってきたチームだ。
東京ガス(FC東京)がプロ化してJリーグ入りを果たしたが、横河の方は会社の方針としてプロ化はせず、横河の名前をはずして「東京武蔵野シティ」と改称して一時的にJリーグ百年構想クラブとなってJ3入りを目指していた時期もあったが、親会社の意向や自治体との関係でプロ化を断念し、2020年には「Jリーグ百年構想クラブ」ではなくなった。