近年のJリーグでは、スペイン人監督が増えている。J1のビッグクラブであるFC東京と浦和レッズも、今季はスペイン人監督に率いられているが、その手法はまったく別なものである。2人のチームづくりをサッカージャーナリスト・後藤健生が考察する。
■選手を入れ替えたロドリゲス監督
前述したように、FC東京のアルベル・プッチ監督は、前任の長谷川健太監督時代と大きく変わらないメンバーのまま、新しいスタイルのサッカーを構築しようとしている(監督の方針というより、クラブの方針と言うべきかもしれないが)。
しかし、浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督はそれとは反対に、自らの就任以前から在籍していた槙野智章や興梠慎三などのレジェンド級の選手の多くを放出し、次々と新戦力を獲得して新チームを作り上げている。
リカルド・ロドリゲス監督就任前から在籍している選手で現在も先発メンバーに名を連ねているのはGKの西川周作、DFの岩波拓也、MFの柴戸海、関根貴大くらいのもの。昨シーズンのキャスパー・ユンカー、アレックス・ショルツに続いて、今シーズンもダヴィド・モーベルグやアレックス・シャルクといった北欧やオランダ出身の選手も獲得している。
現有戦力を使って新しいサッカーを構築しようとしているのがアルベル監督であるとすれば、自身の好みの選手を次々と獲得してまったく新しいグループを作ろうというのがリカルド・ロドリゲス監督と言える。つまり、両者はまったく対照的な手法を採っているのである。