■オシム氏の言葉を思い出す
昨シーズンのリーガでは7位ながらELで優勝し、それによってCL出場権を獲得。
今シーズンもリーガではここまで7位。CLで2つの顔を使い分けて勝ち上がってきたように、決してビッグクラブと対等に戦える力関係ではない。
それでも、ウナイ・エメリ監督の工夫でイエローサブマリンはヨーロッパ最高峰の舞台でドイツの絶対王者を破り、現在世界最高のチームの1つであるリバプールに対しても十分に"まさか"を思わせた。
サポーターは、ここまで胸躍らせてくれたチームを見捨てるわけにはいかなかった。ここまで連れてきてくれた感謝を伝えなければならなかった。CLで準決勝まで進んだのは、ファン・ロマン・リケルメやディエゴ・フォルラン、マルコス・セナらを擁し、初出場ながら大躍進を果たした05-06シーズン以来のことだ。
一気の3失点で敗退が確定的となってからも、ほとんどのサポーターは帰路につかず、最後の最後までチームを見守った。試合後にはマフラーを広げ、ここまで戦った選手たちをスタジアム全体で包み込んだ。
その光景は、先日亡くなった元日本代表監督のイビチャ・オシム氏の言葉を思い出させた。
「10年に1度でも、良い結果を出したり、凄い試合をする。そういうことを目撃することが幸せだ、と思うくらい熱心なサポーターになってあげてください」
人口たった5万人の小さな田舎町のクラブは、そんな熱心な大勢のサポーターに囲まれて、ヨーロッパの舞台を堂々と去った。
■試合結果
ビジャレアル 2-3 リバプール
※トータルスコア2-5でリバプールが決勝進出
■得点
3分 ブレイェ・ディア(ビジャレアル)
41分 フランシス・コクラン(ビジャレアル)
62分 ファビーニョ(リバプール)
67分 ルイス・ディアス(リバプール)
74分 サディオ・マネ(リバプール)