■女子CLで見えた「強さ」

 先日、「UEFA女子チャンピオンズリーグ」の準決勝第1戦(4月23日)で、驚嘆すべきシーンを見た。試合はバルセロナ(スペイン)対ヴォルフスブルク(ドイツ)。ホームのバルセロナが電撃的な速攻で開始早々2点を決め、苦境に立たされたヴォルフスブルク。ようやく最初のチャンスをつかんだのは前半14分だった。

 左から展開し、ペナルティーエリア右でフリーになったのはFWスベニャ・フートだった。ワンストップし、そのまま放った右足シュートは完璧に見えた。相手GKは反応できない。だがバルセロナのDFイレーネ・パレデスが驚異的なカバーを見せ、はじき返す。フートはいち早くそのボールに反応し、再び右足シュート。しかし至近距離からのシュートは、今度はGKサンドラ・パニョスが足ではじき出した。

 男子のチャンピオンズリーグだったら、2本の決定機を防がれたストライカーは100パーセント頭をかかえるだろう。しかしフートには、そんな「弱さ」などかけらもなかった。ボールが右のゴールラインを出るのを見送ると、チームメートに向き直り、両手を上げて顔の前で「いい攻撃だった」とでも言うように手を叩き、次に右手を回して、「ぐずぐずするな、さあいくぞ!」とばかりに声を上げたのだ。

 何という「強さ」! これこそ、ストライカーに求められるメンタリティーであり、「ふるまい」に違いない。試合はこの後もバルセロナのスピードは止まらず、前半だけで4ゴール。結局ヴォルフスブルクは1-5の大差で敗れるのだが、フートの姿勢と態度は、ストライカーにとどまらず、すべてのサッカー選手の手本だったと、私は思う。

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