「すべてのサッカー選手の手本」となる対バルセロナ戦ヴォルフスブルクFWの姿勢とメンタリティー【ストライカーのあるべき姿】(3)の画像
バルセロナとヴォルフスブルクの対戦には9万人超が集い、女子サッカーの史上最多動員数を更新した 写真:AP/アフロ

 ゴールこそは、サッカーにおける最高の瞬間である。だからこそ、得点した選手は喜びを爆発させる。一方で、サッカージャーナリスト・大住良之が懸念を指摘するのは、ストライカーたちの、ある「ふるまい」だ。ストライカーを弱らせる「パフォーマンス」とは。

■世間を魅了したなでしこジャパン

 洋の東西を問わず、得点後の選手たちのパフォーマンスの多彩さ、大げささは、このところすっかり定着してしまっている。なかには、シュート練習より「パフォーマンス練習」を一生懸命にやってきたのではないかと、つい思ってしまう選手さえいる。

 ゴールを決めることはすべてのサッカー選手の夢であり、天にも昇る気持ちであることはよくわかる。しかし得点後の大げさな、芝居がかったパフォーマンスは、どうもいただけない。やたら時間がかかるし、得点がはいってから相手チームがキックオフするまで1分間以上かかることも珍しくはない。

 2011年になでしこジャパンが女子ワールドカップで優勝して、日本中を感動の渦に巻き込んだ。サッカーをあまり見たことがない人々も惹きつけた力は、彼女たちの「ひたむきさ」だった。どんなに苦しい状況でもけっしてあきらめず、安っぽいヒロイズム(ヒロイニズムか?)の表現である大げさな「ゴールパフォーマンス」に走ることもなく、得点を挙げたらただ跳び上がり、笑顔で仲間と抱き合っている…。そんな女子サッカーの様子と比較すると、Jリーグや欧州のサッカーで繰り広げられている大げさな「ゴールパフォーマンス」の幼稚さ、ばからしさが理解できるのではないか。

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