後藤健生の「蹴球放浪記」第107回「まだ誰も花粉症やW杯も知らなかった時代」の巻(2)日本がフットボール・ネーションになった証の画像
アルゼンチンW杯からの帰途、モルンビで観戦したサンパウロ対グレミオのチケット 提供/後藤健生

 現在であれば、サッカーのワールドカップは日本中の人が知っている。だが、かつてはマニアしか知らない時代もあった。その当時から、蹴球放浪家・後藤健生は大会観戦に出向いていた。まだ、花粉症も知られていない時代から…。

■原因が分かればスッキリ?

 僕が、自分のくしゃみや鼻水の原因が花粉によるアレルギーであることを知ったのは、新聞で「最近、そういう症状の人が多くなっている」という記事を読んだ時のことでした。

 記事によれば、この「病気」はヨーロッパやアメリカでは昔から知られていて、初夏の干し草(英語でHay)を刈る頃に症状が出るので「Hay Fever(干し草熱?)」と呼ばれているとのことでした。

 もちろん、欧米にはスギはありませんから、それぞれの地域にある別の植物の花粉が原因です。

「ああ、そうか! そういう症状なのだ」

 原因さえ分かれば、もう心配はありません。もちろん、症状は続くので辛いのは辛いのですが、原因不明で心配する必要はなくなりました。

 ただ、当時はまだ一般に知られている「病気」ではないので、会う人にいちいち「これは、こういう原因で起こるアレルギー症状なのであって、感染する心配はないのでどうぞご安心ください」と説明をしなければならなかったのです。

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