大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第87回「サッカーゲームは熱い」(2)半世紀前にプロツアーを生んだ世界的な人気爆発の画像
人気とともにサイズも拡大? モスクワのデパートでの30人対30人の「ムカデ・テーブルサッカー」(?) (c)Y.Osumi

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は、サッカーより熱くなるサッカーについて。

■テーブルサッカーの最大の長所

 ゲームは1対1(すなわち1人で4本の「横棒」を操る)か、2対2(1人が両手で1本ずつ、2本横棒を操り、8本の横棒、22人の「選手」が常に動いている形)で行われるが、楽しみでやるなら、4対4まで可能だ。実際にやってみると、間違いなく熱くなる。頭も技術も必要だが、何よりも体を使って相手のゴールにボールをけり込む感覚が、限りなく本物のサッカーに近いのである。この感覚とシンプルさが、本物のサッカーと同様、100年以上の長きに渡って人気を持続させてきた秘密に違いない。

 このゲームの見逃すことができない長所は、オフサイドがないことである。すべての「選手」は横棒で刺し貫かれ、横には移動できるが、前後には、1ミリも動くことはできない。3人のFWの目の前には、常にGKだけでなく2人のDFがいるので、副審の旗で得点がオフサイドとして取り消される、あるいは副審は旗を上げなかったのに、VARの「3Dライン」でわずかに肩が前に出ているからノーゴールといったフラストレーションとはまったく無縁なのである。

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