■新加入のアレックス・シャルクが入り、酒井が右ワイドへ

 そんな長友と酒井の直接バトルが多く見られたFC東京対浦和の後半戦。まず48分、浦和陣内でボールを拾った長友に、酒井が接近、腕で長友の首に手をかけた場面から始まったのだが、同じSBでも両者の役割は異なるものだった。

 試合後半、東京の左ウイングに入ったアダイウトンがサイドに大きく張り、長友は主にその内側のレーンを担当。守備に加え、突破を図るアダイウトンをフォローする役割を担った。一方の酒井は、その後半開始から投入された元気一杯のアダイウトンと対峙することに。前半、東京の左ウイングを務めていた紺野和也とは違う、馬力のあるドリブラーとの激しい1対1を繰り広げることとなった。

 この試合、長友の集中力は非常に高く、守備での綻びはなし。アルベル監督も「とても集中したプレーをしてくれていました」と讃えるものだった。酒井も、突破された場面もあったものの、前に前に進んでくるアダイウトンに対して体をぶつける激しいディフェンスで対抗し、インテンシティの高いプレーを見せてくれた。

 そして、81分、浦和の右サイドMFを務めていた小泉佳穂に代わって、新加入のアレックス・シャルクがFWに投入されたことで事態が変化。酒井が浦和の右ワイドの高目にポジションを取るようになり、「酒井VS長友」の直接対決が頻発するようになったのだ。

 81分、右MFにポジションを変えた江坂任から、やや長めのタテパスが出される。センタリングを上げようとスピードを上げる酒井に追いついたのは、猛ダッシュを見せた長友だった。両者がもつれてゴールラインを割ったボールはゴールキックに。立ち上がった2人はボディタッチをし、長友は笑顔を見せた。

 攻める浦和、守る東京――その後、87分、89分、92分にも相対した酒井と長友。集中した表情でバランスのいい距離感を保つ長友に、酒井はボールを“失わない選択”を選んだ。

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