大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第86回「FIFAランキングの怪」(4)ワールドカップ同組のスペインとドイツを必要以上に恐れる必要はないの画像
日本代表は五輪でもスペインと堂々戦った 写真:原悦生

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト・大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、FIFAランキングなる不可解な数値について。

■ややこしい計算方法

 あまり難しい話は書きたくない(自分自身がよく理解できていないから)のだが、対戦型(勝つか負けるか)の競技で、直接対戦しなくても実力を表す計算方法というものがチェスのランキングをつけるために考案されていた。ハンガリー生まれのアメリカ人物理学者で、自身も有名なチェス競技者だった「アルパド・イロ」という人が考案したもので、「イロ・レーティング」という計算方法が使われているという。

 基本的には、試合の重要度ポイントに、試合結果、「期待される試合結果」の数値をかけ合わせたものがその試合でのポイントになる。「期待される試合結果」が難しいが、試合前の両チームの保有ポイントの差が元になる。

 なんのこっちゃと思われるだろうが、要するに、試合に勝つか、ランキングが上のチームと引き分けるとポイントが加算され、負けるか、ランキングが下のチームと引き分けると減殺されることになる。ことし3月の日本代表で言えば、オーストラリアに勝ったことで得たポイントの多くを、ベトナムに引き分けたことで吐き出してしまったということになる。

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